近未来将棋小説 紅に王手

織田八之助が江戸時代と現代を駆け抜ける梵暮ら物語り

曇り

仏光寺の敷地内には立派な木々が立ち並ぶ


松や紅葉が楽しげに風に揺れている


苔が生い茂る石道を進むと 本堂だ



本堂の中からは 太鼓の音が聴こえる 心が弾む



「よっ ブラフマン」



・・・ 本堂の脇の石段を振り返ると 



「あっ 重広さんじゃないですが 一服中ですか?」


「です 八之助さんもどうですか?」


「です」



重広は江戸から来ている浮世絵画家で 数ヶ月の滞在の予定でこの町にいた



「ぷっ は~  重広さんの梵は美味い!」


「そうですか いつも 八之助さんからご馳走になっている梵も最高ですよ」


「ぷっ は~ 重広さんの浮世絵はぶっ飛んでるからな~」


「まっ 将棋駒とは表現方法は違いますが 八之助さんの駒も相当ぶっ飛んでますよ 


 そうだ 近い将来 江戸で共同個展をやりましょうよ」


「いいですね 夢が広がります」


「ぷっ は~   中に行きませんか 一曲じゃむりましょう♪」