近未来将棋小説 紅に王手

織田八之助が江戸時代と現代を駆け抜ける梵暮ら物語り

漆山ブルース

ふと小さな丘の懐から見えた町の光は漆山だろう


夕暮れ沈む静かな町並み


ほんのりと漆の匂いが漂う町だ


「猿乃助 漆山見えたぞ」


「あそこでござるか あともう一踏ん張りでござるな」


「麻倉漆山店は町の中心にある 美味い飯屋もあるぞ」


「わ~い 楽しみでござる もうひとつ俳句を読んでみるでござる


 漆山 梵と将棋と 今宵打ち」


「渋いな」


猿乃助は嬉しそうに スキップダンスをしてみせた。