近未来将棋小説 紅に王手

織田八之助が江戸時代と現代を駆け抜ける梵暮ら物語り

2018年5月のブログ記事

  • 梵暮鳥

    ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ 「梵暮鳥が鳴いてるね」 「そうだね もう 夕方だね」 ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ ボン... 続きをみる

  • 梵栽

    「あっ 八之助さん 梵あります?」  「ありますよ いっぷく行きますか?」 「はい」 八之助と千夜子は 沼を一望できるベンチに腰を下ろした 「ぷっ は~          八之助さんは 酒 飲まれるんですか?」 「酒ですか 飲んだ時ありますよ どうしてですか?」 「最近 城下町の若旦那達が酒にはま... 続きをみる

  • 千の夜に 花いちもんぺ

    「八之助さん」 後ろを振りむくと 千夜子ちゃんが手を振っていた 「あ 千夜子ちゃん」 千夜子ちゃんは山の麓に住んでいる歌好きの女性だ 「カッパさん いないみたいですね」 「そう いないみたいなんだ 温泉に行かないかと誘いに来たんだが」 「温泉?」 「そう 蔵王に行こうと思って」 「今から」 「そう... 続きをみる

  • 穴熊突破口

    チュンチュンチュン 作業部屋の窓から小鳥の囀りが聞えてくる清々しい空気漂う一時 駒制作の材料 漆がそろそろ切れそうだな 漆山に行くなら 久しぶりに温泉に行きたいところだ カッパと猿乃助を誘ってみるか 漆山町までは 7マイル程の距離だ 八之助は 風呂敷にゴザと梵と将棋駒と蜜ロウを包み 麻袋に入れて家... 続きをみる

  • イマジネーションブルース

    知るとは想う事なり 願うとは知る事なりけり 八之助は時として思う 地球は丸いらしい  では なぜ 人は落ちぬのかと 時として考える 宇宙とはと 八之助は知っていた この町以外にも町がある事を 海があり 違う大地がある事を 武士として思う 見果てぬ地 アメリカーノ ヨロッパーノ パレスチナーノ など... 続きをみる

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  • トルクカルマ

    ドォ ドォ ドォ ドォ ドォ ドォ ドォ ドォ ドォ ドォ ドォ ドォ ドォ ドォ ドォ 「ばんさんや また 聞えるな」 「そうだなや じいさんや 面白山の方から聞えるだにゃや」

  • バナナマン

    「八之助さん 今日 BNNありますよ」 「お~ 英男 」 八之助は英男の肩を叩いた 「BNNか~ 梵とBNNは相性いいからな  重広さんはBNNいくんでしたっけ?」 「BNN?」 「英男が作ったバナナを乾燥させてやつですよ  きのこみたいな飛びです」 「あ~ 幻覚系ですか 浮世絵と合いそうだな 軽... 続きをみる

  • ホトケシンジゲート

    維新天楽隊は天童者を中心にこの町に代々受けつがれている音楽隊だ 人の誕生や生命の死 豊作の喜びや雨を求め 時に楽しく宴 時に内面との対時に 呼ばれし地で 言霊は聖霊なりきり 宿す音に 我 己を知る トン トン トトン トン トン トン 今日もいい音だ 八之助は想う   トン トン トトン トン ト... 続きをみる

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  • 曇り

    仏光寺の敷地内には立派な木々が立ち並ぶ 松や紅葉が楽しげに風に揺れている 苔が生い茂る石道を進むと 本堂だ 本堂の中からは 太鼓の音が聴こえる 心が弾む 「よっ ブラフマン」 ・・・ 本堂の脇の石段を振り返ると  「あっ 重広さんじゃないですが 一服中ですか?」 「です 八之助さんもどうですか?」... 続きをみる

  • 路上の格闘技

    「ちょっと 待ちんなまし この辺じゃ見かけね~顔だな」 「ほっといておくなまし 名も無き旅人でござんすよ」 「・・・おぬし 薩摩の男か」 「・・・それが どうか いたしましたか たとえば おいどんが薩摩者だとしたら」 「聞き捨てならん ここは武士の情け 将棋で勝負をつけようぞ」 「うけてたつ ばっ... 続きをみる

  • in side

    山の谷間を清々しい風を通り抜けていく 遠く 朝日連峰の奥底がバイオレットピンクに染まっている 八之助は 夕陽観察が趣味の一つであった ・今日の夕日は88点 中々の夕日空だ 今年こそは海を見てみたい・ 舞鶴から 維新天楽隊の練習場 佛光寺までは 10分程の距離だ ハッピー蕎麦が緩やかに効いてきた 山... 続きをみる

  • 4:20

    八之助は駒彫の内職を4:00に切り上げた カッパと猿乃助と4:20に 城下町の人気の蕎麦屋舞鶴で待ち合わせをしていた 今夜は維新天楽隊の練習の日だが まずは 腹ごしらえ 恒例だ 舞鶴の店主78は 八之助の同年代で昔から知る良し身だ 「いらっしゃいませ~」 「どうもっすでござる」 「どもども」 「ど... 続きをみる

  • ロンドン

    「イザベラ 今度は ジャパンに行くって?」 「そうなの お父様 今度は ジャパンを旅するわ」 この一年前 イザベラは 太平洋の島 ハワイを旅していた

  • 八之助は 時に 詩人であった サムライの意識 星空より高く 八之助は全てにおいてこの言葉を当てはめていた 駒を彫る印刀の研ぎ方 しかり 刀を研ぐのと同じなりけり 時として 武士として想う  徳川家は何故 250年もの平和を保てたのか 天童織田藩は 最上藩 荘内藩 伊達藩 上杉藩に囲まれた立地にあっ... 続きをみる

  • 「ぷっ は~ 4 八 香車」 「くぅ~ 厳しいでござるな マジでござるか」 「マジでござるよ」 「八之助さん 今夜は何をしてるでござるか?」 「・・・今日は 維新天楽隊の練習の日じゃな」 「頑張ってござるな」 「な~ カッパ~ 天楽はな~ 頑張る頑張らないの話じゃないんだよ」

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  • 曇り

    八之助はロストサムライジェネレーションと言われた時代を生きていた 天童織田藩 吉田大七は天童藩所属の武士達に 将棋駒制作は武士の内職に恥じぬと将棋駒製作を推進していた 財政に苦む天童織田藩にとって将棋駒制作で得たお金は貴重な現金収入になっていた

  • 晴れ

    「ぷっ は~ 5 五 飛車」 「くぅ~ 厳しいとこ きますでござるな」 「当然だろ」 「聞きましたか 週末 山寺で俳句のワークショップがあるらしいでござる  江戸から有名な俳人が来るらしいでござるよ」 「江戸から 俳句か~ カッパ 一句読んでみろ」 「こんなのはいかがでござるか  月見打ち 人間の... 続きをみる