近未来将棋小説 紅に王手

織田八之助が江戸時代と現代を駆け抜ける梵暮ら物語り

漆山ブルース

ふと小さな丘の懐から見えた町の光は漆山だろう


夕暮れ沈む静かな町並み


ほんのりと漆の匂いが漂う町だ


「猿乃助 漆山見えたぞ」


「あそこでござるか あともう一踏ん張りでござるな」


「麻倉漆山店は町の中心にある 美味い飯屋もあるぞ」


「わ~い 楽しみでござる もうひとつ俳句を読んでみるでござる


 漆山 梵と将棋と 今宵打ち」


「渋いな」


猿乃助は嬉しそうに スキップダンスをしてみせた。

猿飛乃助

「香車や桂馬はバック出来ない駒でござるからな~


 飛び越して どうにかなるか 成る思い」



「ハ ハッ ハ 中々 良い俳句だな


 週末 山寺で俳句のワークショップがあるらしいから 猿乃助もいかないか?」



「わー 楽しいそうでござるな 山寺といえば玉コンもあるんじゃないですか


 進む道 これが定めと 成る今や」



ぷっは~


「歩む道 先を読めずに 銀共に」



「・・・  八之助さんの俳句は おくが深いでござるな」


「そうでもないぞ 俺は瞬間的イマジネーションで俳句を詠むからな


 俺はある意味 適当が好きなんだ 


 今夜の将棋は 楽しみだな


 漆山までもう少しだ 先をいそごうぞ」

猿+八

八之助と猿乃助は 夕暮れ時の奥州街道を歩いていた


「八之助さんはどうして 猿の私を好意的に誘ってくれるでござるか?」


「・・・名前が似てるからな」


八之助は江戸ジョークを好んでいた


「それだけでござるか?」


「まぁ 第一に梵好き 第二に温泉好き 第三に将棋好き 第四に蕎麦好き 共通の好きなものがあるからな カッパもそうだか 見ためなんて気にするなかれだ」


八之助は懐から梵巻きを一本取り出して火をつけた


深く 奥底に 梵を溜め込み 猿乃助にも渡した


「 ぷっ は~」 「ぷっ は~」


「そうだ 漆山まで 俳句でも作りながら行こう 俳句と梵も相性は良いからな」

八+猿

「猿乃助~ いるか~?」





「八之助さんじゃないですか どうしました?」



「いやな 漆山経由で蔵王に行こうと思うんだが 行かないか?」


「いいでござるね~   温泉♪ 温泉♬


 ちょっと 準備してきますでよ ちょっと待ってて下さいな」


「おうよ 将棋と梵は 持って来たからよ」


「はいよ~  将棋♪ 将棋♬ 温泉♪ 温泉♬ 梵 梵 梵 🎶」



「ハッ ハッ ハッ だな」



今日も夕陽は 静かに 赤く 沈んでいくところだ

梵暮鳥

ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ


ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ


ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ


ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ




「梵暮鳥が鳴いてるね」



「そうだね もう 夕方だね」



ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ


ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ


ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ


ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ




「おうちに帰ろう」


「うん」




ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ


ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ


ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ


ボン ボン クラ クラ ボン クラクラ